恋とは
恋するとはどんなことなのか、よくわからなくなることがある。
正確には、恋するなどということが、人間の人生にどんないいことなのだろうかということである。
確かに、誰かを好きになって、それから付き合うまでの過程は楽しい。
一種のイベントであり、相手の手に触れた瞬間、初めてハグをした瞬間の満足感や達成感、高揚感、優位感、それはなんとも筆舌しがたい喜びを感じることができる。
しかしながら、いつの日かそうした気持ちは薄れ、どちらかが先に、またはほぼ同時になんてこともあるが、別れを告げる。
タイミングの関係で、告げる側と告げられる側になるわけだが、その恋が幸福であればあるほど、告げられる側には大きな喪失感と、裏切られたというトラウマが残ることもある。
こうして初めて、人間は、自分がいかに愚かな時間を過ごしたのだろうかと考える。幸せな時間であればあるほど、終わるときは悲しいのである。
そうした経験は、人を好きになることへの恐怖心を生む。
しかしながらまた時が経てば、甲斐甲斐しくまた恋をする。そしてまた味わうのである、あの喪失感を。